横浜市会議員 中区選出 福島直子

私の目線から

環境行動都市横浜としての「意志」を具体的行動で示せ

2007.12.20

12月20日、横浜に国連条約本部を置いている国際熱帯木材機関(ITTO http://www.itto.or.jp/)の新しい事務局長エマヌエル・ゼ・メカ氏と令夫人を市会本会議場にお迎えし、市議会史上初の賓客演説を行っていただきました。去る11月、前任のマノエル・ソブラル・フィルホ氏(ブラジル連邦共和国出身)に代わって就任されたゼ・メカ事務局長はカメルーン共和国出身。16年前から横浜にお住まいになっているそうです。  横浜にはITTOのほかにFAO(国連食糧農業機関)やWFP(国連世界食糧計画)、UNU-IAS(国際連合大学高等研究所)など多くの国際機関が日本事務所を設置していますが、日本に世界機関の本部事務局を設置しているのは国際熱帯木材機関だけ。横浜市は国連によりピースメッセンジャー都市に認定されていたことから、国際貢献都市として「国連機関をぜひ横浜に」と積極的に誘致活動を展開し、1986年にITTO本部事務局の横浜設置が実現したという経緯があります。パシフィコ横浜の横浜国際協力センターに事務所を提供し、市長は、毎年11月に開催される理事会にホストシティー代表として出席しています。

市公明党横浜市議団は2005年11月、横浜市が長年に亘って支援しているITTOの活動の一端を調査するため、ペルー、ブラジルへ視察団を派遣しました。地球規模で進む温暖化防止のために必要な大規模な森林管理と現地住民への啓発活動、地域間紛争の解決にも貢献する違法伐採監視活動や、木材以外の森林資源の商品化など、地道にして重要な事業を現地で担う方々から聞く説明内容は感動的ですらありました。また、それらの活動が日本の拠出金なくしては行えないことを知り、地球が日本に期待しているものの大きさと、それを実現するための政治の責任の重さを痛感しました。

今回の演説のなかでゼ・メカ事務局長は、先日閉幕した国連の「気候変動枠組み条約第13回締約国会議(温暖化防止バリ会議)」において、気候変動抑止における持続的森林保護の重要性を合意したことに言及し、特に、全温室効果ガスの20%が熱帯木材機関に加盟する木材産出国での森林破壊によるものであることから、ITTOの役割が一層重要になることを強調しました。そして、この地球規模の課題に取り組むためのITTOの可能性を十分に引き出し、援助したのが日本政府と横浜市であり、それを支えている市民に深く感謝したいと述べられました。  一方で、「環境行動都市」を標榜する横浜市にあっても、様々な経済活動と身近な里山の開発など、緑の保全にかかわる課題が次々と起きています。最近では、栄区・上郷での開発計画で、多くの市民が身近な緑の消失の可能性を危惧して署名・陳情活動をされています。地権者の意思と権利擁護に配慮しつつも、緑を保全するために整備してきた諸制度等を活用し、市民と協働で横浜の自然を保全することができないか、横浜市はもう一歩積極的に働きかけるべきではないでしょうか。私は、18日の環境創造資源循環委員会で関連質疑として、今回のゼ・メカ事務局長の本会議場演説を単なる儀礼に終わらせることのないよう、環境行動都市横浜としての「意志」を具体的行動で示してほしいと要望しました。 (12月20日) 

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