横浜市会議員 中区選出 福島直子

私の目線から

「山下公園芝生ボランティア」の活動が続いています。

2008.08.10

平成16年1月に始まった「山下公園芝生ボランティア」は、早5回目の夏を迎えました。
“芝と雑草の見分け方”を教わり、1区画の雑草を抜くことから始まった活動は、各区画への芝貼りや、公園内樹木への樹名板掛けなどへと幅を広げてきました。メンバーは地元、第二地区連合町内会の皆さまが主体です。当初「市民協働の名の下に、あれもこれも町内会頼みだなぁ」とのつぶやきも聞かれましたが、世話役の皆さまのご苦労により毎回50名前後の方々が、健康づくりも兼ねて楽しく参加されています。

横浜市は昨年から、年々減少していく横浜市内の緑の保全に向けた財源として「緑新税」(仮称)という新たな税金を導入することが適切か否かについて「市税制研究会」(座長・青木宗明神奈川大学教授)に意見を求めてきました。同委員会は8月8日、新税導入は適当、ただし、新税創設で得られる新たな税収の受け皿としての基金の設置や、緑地保全事業の効果を検証するための市民参加組織の新設などを求めるとする「最終報告」をまとめ市に提出しました。課税方式は、個人市民税、法人市民税の均等割に超過課税する方式を提言。緑地の買い取りなど、新たな緑地保全策に必要となる事業費を年約38億円と想定した場合、個人は年額1,300円程度、法人は規模によって6,500円~39万円の負担増になると試算しているとのことです。

緑の施策としては、環境創造局がこの7月、「横浜みどりアップ計画(新規・拡充施策)(素案)」を公表し、地球温暖化防止の上でも重要な緑の保全と創造に関する考え方を示しました。ここでは、横浜市の西側から南部にかけて広がる「緑の10大拠点」と呼ぶ樹林地や農地、市街化の進んだ市域に残される斜面地の緑などを保全することが必要だが、これらはほとんどが民有地であり、維持管理に要する経済的負担の大きさ等については、当事者以外の市民には知られていないこと、また所有者自身に現行の緑保全に関する優遇策が知られていないなど課題も提示しています。

ご近所のお宅の生垣や街路樹、法人所有の研修所に茂る大樹など、もっぱら「借景」を潤いとして生活している私には耳の痛い話ですが、だからこそ貴重な公園の緑の管理に、多少でもお役に立てればとの思いで芝生ボランティアを続けてきました。

ボランティアが始まった頃は土ばかりが見えていた各区画は、私たちの芝の植え付けで確実に改善されたと思います。横浜を代表する山下公園にふさわしい芝生とするには、日ごろのメンテナンスが大切で、今日の作業もその一環です。なにしろ、写真に見えているなかなか見事な緑の絨毯は、実は8割くらいが芝に良く似た雄日芝(オヒシバ)という雑草です。もう少しすると穂が立って花が咲き、種が散ってますます増殖していきます。  

芝と一体化して生えているので雑草だけ抜くのは難しく、手間のかかる作業です。私たちの活動だけで全て抜き去ることは無理ですので、職員の方が様々な方法でレベルの維持に努めて下さっています。

暑い季節も寒い日も自分たちで手入れしてきた芝生が、良い状態を保っているかどうかはボランティア共通の関心事です。開港記念国際花火大会のあと、芝生上に貼り付けられたままで芝生を黄変させていたビニールシートの代わりに、畳おもてを提供しようというアイデアもそんな関心から生まれました。今年も、黄金町・田口畳店さんを中心とする畳屋さんのご協力で集めていただいた500枚の畳おもてが、花火見物客に利用されました。

地面に這いつくばって雑草抜きをしている私たちの傍らを、子どもたちが嬉しそうに走り回ります。公園の緑は自然そのものではありませんが、都心部の子どもにとっては貴重ですから、山下公園芝生ボランティアは必要とされる限り続けようと思っています。

しかし「緑」は、立場によって捉え方が様々であることも事実です。「眺める緑」は貴重であり保全すべきと運動が起きますが、樋を詰まらせ自家用車の屋根に貼りつく落ち葉は許せないという市民の方は多いのです。また樹種や天候により、アレルゲンとなる花粉を放出したり害虫の巣となったりすることもあり、多くの場合伐採することが望まれます。新たな税金で保全される緑と、身近にあるが故に処分されがちな緑と、どちらも横浜市の「緑被率」にカウントされている緑です。緑の施策では、市域全体に関するものと、わが地域に関するものと、細分化・具体化して議論できるよう整理する必要があると思います。

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