横浜市会議員 中区選出 福島直子

私の目線から

緑新税。

2008.11.03

航空写真の上方は、中区の貴重な緑の宝庫、三溪園と八聖殿、下方に見える本牧山頂公園

横浜市は、私たちの暮らしに潤いを与え、環境保全に不可欠である緑の山林や農地が、毎年約100ha(日産スタジアム15.5個分)開発により失われていく現実にかんがみ、樹林地を守り、農地を守り、緑をつくる施策として[横浜みどりアップ計画 新規・拡充案]を策定しました。この計画の実現には年間約121億円を要するため、そのうち32億円は市民税に超過課税することで安定的に確保したいとしています。個人市民税では年間1,100円(所得が一定額以下の方は免除)、法人市民税では現行年間均等割額の11%相当になるそうです。併せて、徴収した新たな税金は、使途と効果を明確にするため市民や有識者からなる検証組織を設置することと、既存の条例による「市民の森」「緑地保存地区」などへの固定資産税等の軽減措置について周知していくこと。また、現行の緑化基準を超えて緑化する建築物敷地に対して固定資産税・都市計画税の軽減を検討していくとしています。

街路樹や公園の緑は既存の財源で保全していく

この新しい税制については新聞各紙でも既に報じていますが、私がお会いした何人かの方は「全く知らなかった」と言っておられました。全ての市民が市の政策の動向に常に注意を払っておられるわけではありませんので、今回のように市民税の均等割納税義務者、約181万人が対象となるような増税策を打ち出すのに、「広報よこはま特別号を発行しました。」「区役所でも閲覧できます。」「ホームページにも掲載してあります。」では説明不足のそしりは免れないでしょう。ちなみに、新しい税制について市民意見を募集していますが、実施期間は10月18日から11月9日までで、市民が情報を得た頃に締め切りとなってしまいそうです。明年から施行するには第4回市会定例会に議案提出する必要がありますが、意見締め切りから定例会まで2週間ほどしか無いのも気になります。

今年8月に実施した「横浜の緑の保全・創造施策と財源確保に関する市民意識調査」では、個人10000人(回収率28.7%)、法人1000社(回収率21.4%)の内、緑のための新税を負担してもいいとした個人が1,287人(45%)、法人62社(29%)。金額によっては負担してもいいとした個人は969人(34%)、法人82社(38%)。負担したくない個人は544人(19%)、法人は61社(29%)でした。”リーマン以降“のこんにちでも同じ結果が出るでしょうか。既存の財源から捻出することはできないのか、所得等に応じた「定率」でなく「定額」にするのは何故か、失われていく「山林・農地」が多い地域と、私たち中区など都心部に住む市民の負担とのバランスはどうなのか、実体経済への影響がこれから本格化するのではと懸念される中、明年6月の市民税から超過課税することに理解が得られるのか、などが私の疑問です。緑の保全活動に参加することを納税に換算する仕組みを創設して、市民一月当たり100円を賄うのはどうでしょうか。 (11月3日)

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