横浜市会議員 中区選出 福島直子

私の目線から

雷祖会で中田市長に辞任の理由を聞く

2009.07.28

毎年、旧暦の6月24日に中華料理の調理師の皆さんが一同に会して行われるこの行事は、日頃食材として手荒に扱うことの多い生き物に感謝を捧げ、雷祖神(もともとは養蚕と絹の神様)に供養し怒りを鎮めようというものです。

祭壇には、調理師の皆さんの技術の粋を凝らした見事な飾り彫りが並べられ、お店では提供されないような各店自慢の珍味が供せられます。

午後8時前、中田宏市長が会場にやってきました。「辞表は出しましたが、まだ20日間は市長です。」と前置きし、辞任の理由として、財政再建に道筋がつき一定の成果を収めたこと、2期8年と決めていたこと、衆議院選挙と同日選挙とすることで高い投票率のもと市長選挙が行われること、単独で行うより10億円の経費削減となること等を挙げ、「今後は国を良くするため国民運動に取り組んでいく」と語りました。会場からは労いの拍手(?)がわき起こりました。

会場を後にする市長に「どうしたのですか!」と声を掛けた私に対して、突然の辞意表明を詫びる言葉とともに、前述した理由を繰り返されました。

29日の定例記者会見で中田市長は記者からの質問に答え、任期を目前に控えた首長の「レームダック」状態(求心力の低下、死に体状態)を回避すべきと考えたと、米国アラスカ州知事を任期途中で辞任したペイリン氏を例に語りました。3選目に出馬しないことは決めており、すでにレームダック状態は始まっていた。任期満了の2010年4月まで努めることを前提とすると、不出馬を表明した時点から行政内部での求心力の低下は避けられず、これを長期化させることは市民のためにならないと考え時期を模索していたと強調しました。

しかしこうした現象は、何期かを努めた全ての首長の改選時期に、少なからず生ずるものでありましょう。首長本人には耐え難いものかもしれませんが、こうした期間に市民や議会はそれまでの首長の仕事ぶりを検証し、次期に求められるものは何なのかを議論するのです。中田市長は平成19年第3回定例会で「市長の職にある者は、その職に連続して3期を超えて在任しないよう努めるものとする」との条例を提案し、私たちも議論の末賛成しました。今後は、市長の在任期間の成果の検証が終わるまでは自ら辞職することができないとする等の規制を議論する必要があるかもしれません。

二元代表制における市長の役割は、行政組織を運営するための予算や条例を提案し実現することのみならず、東京都に次ぐ370万人に及ぶ市民と都市を代表する顔となることでもあります。12日間の選挙期間を与えられる衆議院選挙より2日長く14日間の運動期間となる政令市の市長選挙は、8月16日公示、30日投票の見込みです。

雷祖会での別れ際「後継指名などということはしません」と言っていた市長ですが、意中の人と事前に打ち合わせていたということはないのでしょうか。

たった2週間で、横浜市にふさわしい候補者を擁立し、市民の適切な判断を仰ぐことはできるのでしょうか。市長が理由とした“高い投票率”が予想される国政選挙のついでに、「良くわからないけど投票した」ということだけは避けたいものですが。

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